リンゴ果実の貯蔵性に及ぼす施用窒素, カリウムの影響
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概要
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窒素ならびにカリウム施用量がリンゴ果実の貯蔵中及び貯蔵後の品質に及ぼす影響について調べるため, 窒素とカリウム濃度を変化させた培養液で水耕栽培し, 樹体栄養条件の異なるリンゴ樹を供試して次の結果を得た.1. 7年生マルバカイドウ台‘ジョナゴールド’について施用窒素 (硝酸態) 濃度を0.3, 1.0, 4.0mMとする処理を行った. 施用窒素濃度が高いと果実収量, 一果重, 糖含量は高く, 果肉硬度, 酸含量は低くなる傾向を示した. しかし貯蔵中及び貯蔵後の果実では施用窒素濃度が高いほど成熟の指標となると思われるエチレン生成, リンゴ酸酵素活性が高く, さらに酸含量の減少や果肉の軟化などによる品質低下が早く, この条件は貯蔵には適さないことを認めた.2. 4年生M9台‘ふじ’について施用カリウム濃度を1, 10, 25mMとする処理を行った結果, 糖含量には処理区の差はみられなかったが, 果実収量, 一果重は施用カリウム濃度が高いほど大きく, 果肉硬度はやや低くなった. 酸含量についてはやや増加する傾向がみられた. さらに貯蔵中及び貯蔵後において施用カリウム濃度の高い果実は貯蔵中のエチレン生成量, リンゴ酸酵素活性は低く, 果肉の軟化, 酸含量の低下速度は小さく, 貯蔵に適していることを認めた.3. 以上のように施用カリウム濃度の高い果実と施用窒素濃度の低い果実はともに果実中のカリウム含量が高く貯蔵性にも優れていたことから, また施用窒素濃度が高いとカリウム含量が減少し, 貯蔵性が減少することから, カリウム含量と果実の貯蔵性に何らかの関係があることが示唆された.