2-(3,4-ジクロロフェノキシ)トリエチルアミン(DCPTA)がテンサイ‘ダイヒル’の生長と発育に及ぼす効果
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概要
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テンサイ‘ダイヒル’(Beta culgarisL. cv. Dihill)の種子を, 2-(3, 4-ジクロロフェノキシ)トリエチルアミン(以下DCPTAと称す)で処理して栽培したところ, 葉および根の生長促進が見られ, 主根中のショ糖含有量が対照株より増加した. 生長中期では, 1ppm-DCPTAで処理した種子からの株において, 乾燥葉重および総葉面積が, 対照株に比べそれぞれ98%と75%増加した. また, 葉冠(canopy)が対照株より大きくなり, これは成熟した葉の老化が遅れることによる. そして, 播種して5か月後には, 10ppm-DCPTAで処理した種子からの株の主根の新鮮重量が, 対照株よりも28%増加した. 加えて, この株の単位根重あたりのショ糖含有率も, 15%対照株より上回った. これを主根1個あたりのショ糖含有量に換算すると, 対照株に比べて47%も増加したことになる. しかし, 主根内部に同心的に形成される維管束輪の間隔は, DCPTAの処理濃度に無関係であった. これらのことは, 主根の肥大およびショ糖の蓄積という二つの過程に対する光合成産物の分配バランスが, DCPTA処理を行なってもあまり変わらないということを示唆している. 本研究結果は, DCPTAを10ppmの濃度でテンサイ‘ダイヒル’の種子に処理すれば, ショ糖の収量を高めることができることを示している.
- 園芸学会の論文