數種蔬菜の鹽害に關する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1) NaCl が 2, 3 の蔬菜の生育及び養分吸収に及ぼす影響を調べる為, NaCl を種々濃度に含む 養液を用い, ガラス室内でイチゴについて水耕 (1951), ネギ, タイサイについて砂耕試験 1952) を行つた。(2) イチゴには, 標準区に春日井氏畑作物水耕培養液を用い, 之に NaCl を夫々, 500, 1,000, ,500, 2,000, 3,000ppm に加えた各区を設け, 又ネギ及びタイサイには, 標準区に HOAGLAND 氏培養液を用い, 之に Na-Cl を夫々, 2,000, 4,000, 6,000, 8,000, 10,000ppm に加えた各区を設けた。(3) イチゴ, ネギ, タイサイの処理開始後の培養期間は夫々, 38, 64, 60日であるが, 3者の中ではイチゴが最も弱い様で, NaCl 3,000ppm 区では, 葉縁焼け, 根の黒変等の症状を現わし生育が悪い。ネギ, タイサイは, NaCl 10,000ppm 区においても枯死せず, 殊にネギでは矮化以外に明確な塩害症状は認められなかつた。しかしタイサイでは, NaCl 高濃度区で葉が粗剛となり彎曲し, 緑色が濃くなり, 下葉が枯上る症状を示した。(4) NaCl 区における矮化の様相は作物によつて異 なるが, 概観的には NaCl 濃度と共に大体漸進的であつて, 急に矮化する濃度は認められなかつた。(5) 糖分測定の結果, 過剰の Cl は作物の炭水化物代謝を妨害する様に認められた。(6) 地上部収穫材料の無機要素の分析結果によると, 培養液中の NaCl 濃度が高くなるに従つて次の如き傾向が見られた。即さ Na 及び Cl は, 何れの作物においても増加するが Cl の方が Na に比して吸収が大きい。他の N, P, K, Ca, Mg 等は, イチゴでは高濃度区で減少するが, ネギでは何れも大きな変化がなく, むしろやや増加の傾向を示すものがある。タイサイではNが増加する他は, K, Ca, Mg は著しく, 又Pは僅かに減少する。
- 園芸学会の論文