倍數性花卉の育成と利用に關する研究 (第7報) : 4倍性ストックにおける八重咲株出現の樣式とその利用性
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概要
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(1) さきにコルヒチン處理によつて創成された Non-Branching 系の同質4倍體ストックの後代は八重咲率が著しく低く經濟的品種として利用することはなお不可能であるが, 八重咲性其他の遺傳現象の究明材料としては絶好のものであるといえよう。(2) 一重咲性と八重咲性は主として1對の遺傳子S-sの作用によつて發現され, 一重咲性が優性である。2倍體一重咲はSsという構成をもつている故に, それを原として得られた4倍體はSSssで, その次代植物としてSSSs, SSss, Ssssの3型の一重咲株およびssss型の八重咲株が期待される。(3) SSSs株は生育おそく葉が直線的で細く次代植物はすべて一重咲となる。SSss株は葉縁に僅かに鋸齒状の切込みを現わし攻代に2〜16%程度の八重咲株を生ずる。Ssss株は生育良好で葉縁の切込みが顯著に現われ, 小花に過剩の花瓣を發生して Semi-double になる場合ぶ多く, 更にその傾向が一層強くなれば莖葉は全くSsss株の特徴を維持しているが, 花序は完全八重咲花となつてssss型と相違なきものとなつている。この現象は1個の優性S因子が3個の劣性sss因子に對してしばしばその優位性を壓倒される場合におこるものと思われる。完全な雌蕋を具えた一重咲Ssss株も一般に稔性が低く次代に23〜28%程度の八重咲株を生ずる。(4) Ssss型と推定される八重咲株はssss型のそれに比べて濃緑の葉を多くもち整が丈夫で花着きも密になり, 切花としては一層すぐれている。(5) ssss型は雌雄蕋を缺く完全八重咲株であつて葉緑の度が淡く葉幅著しく廣く鋸齒が深く入つている。葉數が少なく花穗の花着きが疎らであるが, 各小花は著しく多瓣で大きい。(6) 集團的にみればSSss型の株が最も多く更に稔性の高いものぶあるので, 放任採種の場合は八重咲率は5%前後になつてしまう。この八重咲率を引上げるためには形態上からSsss株だけを選出して, これらのみの種子を毎年繼續してとつて行かなければならない。(7) 4x (Ssss)×2x (Ss) という交配組合せで3倍體を作成するならば八重咲率を50%に上げることがでぎようが, ストックの特性として3倍性種子の獲得は極めて困難である。(8) 僅かな機會によつて得られた3倍體は比較的稔實度が高く, しかもその次代は殆んどすべてが稔性ある4倍體となつた。この現象は3倍體雜種を經て新しい4倍體を作成しうる育種上の1つの例を示すものである。
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