植物生長ホルモンに關する實驗的研究 (第3報) : イチヂクの成熟に及ぼす植物生長ホルモンの影響
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概要
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1) イチジクの果實に對する植物生長ホルモンの處理が,その熟期の促進,發育の増強の上に如何なる影響を及ぼすかを知らんがため,ブラウン・ターキー及び桝井ドーフィンの兩品種の秋果を用い,昭和17•18の2ケ年度に亙つて, 2•3の實驗を行つた。 2) 果實の生長中の或る時期に於いて,果頂部の小孔から植物生長ホルモンの水溶液を注入することは,熟期を促進する上に著しい効果を有している。 3)植物生長ホルモンの處理によつて,横徑の増大は或る程度の影響を受けるものゝ如くであるが,縦徑及び果重には顯著な影響を及ぼさない。 4)處理の時期は,生育停頓期の初期から中期に亙る期間に行つたものが,熟期を促進する効果がある。末期に注入したものは,効果の發現に充分な時間的餘裕がないまゝ成熟に至るため,無處理果と較べて早晩の隔りが現われない。 5)熟期の促進につき,オリーブ油も著しい効果を現わすが,植物生長ホルモンとオリーブ油との熟期の促進に關する優劣は,實驗の範圍内では判定し兼ねる。
- 園芸学会の論文