レモンの袋掛けの研究:II 袋掛けがレモンの果皮構造に及ぼす影響に就いて
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概要
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1. 本實驗は袋掛がレモンの果實の表皮構造に及ぼす影響を究明しようとして行つたものである。2. 供試した品種は Lisbon 並に Eureka で何れも士林園藝試驗支所より呈供を受けた。尚臺北帝大附屬農場産 Eureka の新聞袋かけ果實も豫備試驗に使用した。3. 觀察は次の項目に就いて行つた。(イ) 表皮の油胞間の距離及びその表皮の隆起状態(ロ) 油胞の大さ(ハ) 油胞の密度4. 實驗は (イ) に於ては顯微鏡で, (ロ), (ハ) は肉眼測定を行つた。5. 油胞間の距離は袋掛したものでは大きい。隆起状態は高さの絶對値には差が認められなかつたが, その仰角を測つて見ると, 樹冠の南側, 北側に存する果實に於ては袋掛したものゝ仰角は放任果のそれより小さくなつてゐた。懐枝の果實には此の兩者間の差が明瞭でなかつた。6. 油胞の大さは袋掛した果實の方がより大であつた。7. 一定面積中の油胞の數即ち密度は袋掛したものが小さくなつて居る。8. 袋掛した果實の肌が美しく見えるのは油胞の密度が小となり, 油胞間表皮の隆起及びその瀕度が小どなり果面が滑かに感ぜられることゝ, 油胞がより大きくなつた爲に色感がよくなることゝに起因すると思はれる。此の何れもは光線量の減少に伴つて惹起されるものであり, 袋掛によつて光線量が制限される爲であらう。9. パラフィン袋掛の代りに新聞紙袋掛を行へば更に顯著な結果を得ると思考される。
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