蔬菜の耕土管理の研究 : I. 臺北地方に於ける畦の地温に就いて
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概要
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1. 臺灣北部に於て畦の種類に依つて異る地温の變化を知る爲めに夏秋冬の3季節に亘つて畦の地温の測定を行つた。2. 畦は長さ6尺, 幅3尺で, その種類は高畦(高さ7寸), 中畦(3寸), 平畦の3裸地區と更に中畦に甕菜を植付けたもの或は敷藁したものの被覆區とを設けた。3. 測定位置は平畦の表面と同一平面上の位置を測定した。即ち高畦, 中畦, 甕菜畦, 敷藁畦に於ては畦の表面より前者は7寸, 後3者は3寸の深さの場所を測定した。測定時刻は VII 時, XI 時, XIII 時(午後1時), XV 時 (午後3時), XIX 時(午後7時)の5囘とした。4. 各畦共各季節を通じ VII時が最低地温を示し, 日出と共に地温が上昇し, 平畦では XIII 時(夏秋)又は XV 時(冬)に最高地温を示した。中畦てはXV 時, 高畦では XIX 時に最高地温に達することが判つた。5. 平均地温は平畦が最高で, 次いで中畦, 高畦の順となる。又地温の日變化は畦の高さが高く成る程少くなつてゐる。6. 季節別に見ると各畦の日變化は, 夏が最大で, 次いで冬で, 秋に最も少い。又季節間の地温隔差も畦が高く成る程少くなる。7. 各畦の地温の年振幅は夏の最高地温と冬の最低地温の差で示した。その振幅の範圍を示すと, 高畦は12.1°C-33.7°C, 中畦は11.7°C-37.4°C, 平畦は10.8°C-46.6°Cとなる。8. 裸地區の地温に比べると作物を植付けた所の作物植付區及敷藁區は常に平均地温が低く且つ變化が少くなつてゐた。9. 天候の如何によつて地温の變化も異る。即ち平均地温は夏秋共晴天の場合が高温であるが, 冬高畦, 中畦及中畦敷藁區では却つて雨天の場合が高温であつて, 獨り平畦のみが例外で低温となつてゐた。地温變化は夏季中畦を例外として, 晴天の場合が各畦共大である。