球根類の温度處理と開花との關係 : 第3報 チューリップの活動初期に於ける温度處理の影響
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概要
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1. 本實驗は, グーウィン•チュ•ーリップ (Tulipa Gesn riana L. var. DarwinianaBailey) の發育初期に於ける温度の影響が, 其の後の生育に如何なる關係あるかに就いて調査したのである。2. 花芽形成後13.5°Cの低温處理をなす事は, 25°C位の夏期普通氣温, 又は3°Cの最低温處理の場合より, 葉, 花の器官の生長を促進せしめ, 且發根時期をも促進せしむ。3. 發根を促進せしむ爲には, 花芽分化後適當なる温度と, 充分なる濕度を伴ふ必要がある。4. 花芽分化後に於いても, 發根前に3°Cの低温處理を爲す事は, blind 數を増加するが, 發根後に於いては其の傾向は少なくなる。5. 低温處理せられたるもの程葉の發育は旺盛となるが, 其の幅は狹く細長くなる。6. 實用上休眠期間中の温度處理は, 葉, 花の形成された7月中旬から行ふのが安全である。7. 葉, 花, 根の完全なる促進を計る爲には, 10°〜13.5°C位が適當し, 地上部の生育を一層促進せしむ爲には, 發根出揃後3°Cの低温處理が效果顯著である。8. 3°Cの低温處理せられたものは, 期間の長くなるに從つて, 花の品位を不良ならしむ。9. 温度處理に依り, 葉と花莖の發育が正比例する場合は, 第一葉の優良なるもの程, 開花も良好である。10. 活動初期に低温操作する事は, 其の後の發育に密接な影響を與へ, 生育を促進する。