SAMP8大脳に発現するアルツハイマー病関連タンパク質において検出されたD-アミノ酸量の増加
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概要
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これまで、生物を構成するアミノ酸はL-体が主体であると考えられてきた。しかし近年、L-アミノ酸の光学異性体であるD-アミノ酸の生体内での機能が明らかになりつつある。本研究では、加齢とともに発症リスクの高まるアルツハイマー病に注目し、アルツハイマー病関連タンパク質に含有されるD-アミノ酸の加齢に伴う量の変化を解析した。実験にはアルツハイマー病のモデル動物である老化促進モデル動物SAMP8系統(SAMP8)を用いた。加齢の進んだSAMP8大脳から抽出したアルツハイマー病関連タンパク質のうち、タンパク質脱リン酸化酵素であるPP1CにおいてD-アスパラギン酸とD-セリンの量が増加していることが明らかになった。PP1Cはアルツハイマー病の原因分子のひとつであるTauの脱リン酸化作用を持つことから、D-アミノ酸含有PP1Cの生理活性低下と、アルツハイマー病との間に何らかの関連性があることが示唆された。