Mean Cell Entropy と Area Entropy
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概要
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Shannon (1948) によるエントロピーの定義は情報科学の分野で提出されたものであるが, 近年, 地理学においても, 多様度の尺度として, その応用が種々試みられている。この Shannon の定義に基づき, 2つの新しいエントロピー, Mean Cell Entropy Hm と Area Entropy Haを導入する。これらは, grid system で等しく分割された地域についての情報を, おのおのの unit cell 内でり特定の要素 (variable) の有無で記述する場合に対して考案されたものであり, 次のように定義される。Hm=1/NΣNj=1(-Σnji=11/njlog21/nj)=1/NΣNj=1log2njHa=-ΣMi=pilog2piここでnjはj番目の unit cell 内に存する要素の数, Nは unit cell の数, Mは unit cell 内での要素の組み合わせ方の種類数, piはi番目の組み合わせ方をもつ unit cell の数の全 unit cell 数に対する割合である。Mean Cell Entropy と Area Entropy は, 定義から明らかなように, それぞれ, unit cell のレベルでの小区域内の要素の分布の多様度と, 複数の unit cell からなる地域における諸種の unitcell の分布の多様度を測る尺度である。これら2つのエントロピーは, 日本と英国のいろいろな地域から選ばれた31のサンプル地域に対し適用された。標準地域は50×50m2の unit cell 100ヶからなる500×500m2の地域とし, 要素としては Null (使用されていない場所), Domestic (住むための場所), Livelihood (仕事のための場所), Congregative (Domestic, Livelihood 以外の目的で使用される場所) の4ヶが用いられた。その結果, 日本の都市の中心部が, 日本の他の地域や英国の諸種の地域に比べ, 高い Mean Cell Entropy と低い Area Entropy をもつこと, 即ち, unit cell のレベルでの多様度は大きいが, 地域全体での unit cell の多様度は低いということ等が明らかとなった。
- 東北地理学会の論文