扇状地の特性を形成する因子
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概要
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扇状地の形態・構造は数多くの因子に支配されている。その各因子の関与の度合を定量的に求めた。扇状地堆積物の体積に係わる度合の大きい因子は, 時期・集水域面積・垂直変動量であり, ついで堆積場・山間盆地・火山の有無である。時期の違いは最も大きい影響を与えていることから, 時期の違いによる堆積物の体積の差を説明することの重要性が明らかになった。また, 堆積物の体積は, 主に岩屑の供給条件に左右されている。扇面面積には, 集水域面積と時期の違いが圧倒的に関与している。平均勾配には, 起伏比・集水域面積が大きく, ついで集水域地質・気候条件が関与している。凝灰岩・集塊岩・火山岩を集水域地質とするところでは, 急勾配となり, 西南日本の扇状地では緩勾配となっている。下刻量には, 扇状地面形成以降の経過時間, 時期の違い, 完新世の気候条件, 火山の有無, 垂直変動量が, この順に関与している。これらの因子は, 気候変化・地殼変動・火山活動と関係あり, 砂礫の量と運搬力との比の変化に影響を及ぼし, 下刻量を左右しているものと思われる。そのなかで, 時期の違いによる下刻量の差を説明することの重要性が明らかになった。一方, 砂礫の量と運搬力との比の変化に影響を与えにくい, 集水域面積・山間盆地・起伏比・集水域地質の関与の度合は小さい。
- 東北地理学会の論文