最終氷期における飯豊山地および朝日山地周辺の堆積段丘の形成
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概要
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飯豊・朝日山地周辺の三面川, 荒川, 玉川, 胎内川および加治川の流域には, 堆積段丘を含む新旧数段の河岸段丘が発達している。本稿は, それらの段丘群に関する記載を行なったうえで, 最終氷期における堆積段丘の形成過程について考察する。本稿で得られた知見は以下のように要約される。(1) 研究対象地域全域にわたって35,000年B. P. 以前の最終氷期前半に堆積段丘が発達した (旧期堆積期)。旧期堆積期に形成された堆積段丘は, 上流河谷では引き続く侵蝕期に侵食されほとんど残っていないが, 中流部に広く分布している。(2) 旧期堆積期以降, 一部の地域を除いて, 河川は数回の河床の安定期に fillstrath 段丘を形成しながら現河床のレベルに達した。(3) 一方, 山間の峡谷部あるいは一部の峡谷の出口付近にのみ, 旧期堆積期に比べはるかに小規模であったと考えられる埋積 (新期堆積期) が認められた。新期堆積期は旧期堆積期との前後関係および, より下位の段丘の14C年代と花崗岩礫の風化度の比較から, 3万年B. P. 以降12,000yr B. P. 以前である。それらの河谷の堆積は, 気候変化によってひきおこされたものと考えられる。
- 東北地理学会の論文