東北地方における秋季の天候推移
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概要
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東北地方における, 秋から初冬に至る天候推移の地域性を検討した。半旬雲量の8月末から12月末までの季節推移を日本海岸, 太平洋岸の間で比較し, さらに半旬降水量と半旬降水頻度の東西分布, すなわち秋田―宮古断面 (7地点)・酒田―石巻断面 (8地点)・新潟―小名浜断面 (9地点) の季節推移 (時空間分布) を調べた。その結果,1) 雲量が日本海岸の方で多, 太平洋岸の方で少という傾向がすでに10月初めに現れ, 冬季に向かうにつれて両者間の対照が明瞭になっていく。2) 降水量, 降水頻度ともに日本海側で多く太平洋側で少ない状態が, 10月半ば頃から開始する。冬季類似の降水分布パターンが早々に秋のうちに, しかもかなり明瞭な形で現れるということである。このパターンは11月初めの singularity を含む半旬によって一時的に中断されるが, その後は冬型の傾向が強まっていく。3) しかし, この日本海側の10月半ば以降の降水は, 前述の singularity の時期の前後では, 一雨ごとの降水分布域, 降水量の地域差等, 質的にかなり異なるのではないかと思われる。