東北地方における農村家屋形態の地理学的研究 : その展開と成果
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概要
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本稿は, 東北地方における農村家屋研究の展開と成果を, 地理学的分野を中心として展望し, その課題を整理・考察することを試みたものである。郷土研究や地方史誌の類を含めて, 当該テーマに関連する研究は膨大な数に上るが, ここでは, 農村家屋形態の研究を, 1) 外部形態, 2) 母屋間取り形態, 3) 付属建物とその構造, 4) 地方的タイプ, の4つのカテゴリーに大別し, 主要な成果の展望を行った。上記それぞれのカテゴリーにおいて, 地理学及び隣接諸分野における諸研究・諸調査が集積し, 東北地方内における農村家屋形態の地域的差異と特色が明らかにされてきたが, 今後に残された課題も多い。特に, 広域分布論的研究の精繖化と, そのために必要な資料の発掘と活用, 適切なタイプ分類への模索, 動態論的な研究の推進と機能論的見方の多様化, さらに地方的レベルにおける文化地理学的考察の深化と, 全国的な枠組の研究へのフィードバック等が, 枢要な課題として認識されねばならない。
- 東北地理学会の論文