船形山・泉ケ岳火山の最終氷期以降の大規模地すべり地形
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概要
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奥羽山脈中部に位置する船形山・泉ケ岳火山は, 更新世中期頃には火山体の形成がほぼ終了し, その後大規模な地すべりによる侵食が進んだ成層火山である。本論では, 火山地域に発生する地すべりのタイプと発生条件, 地すべりの発生時期と周辺の地形発達との関係について考察を行った。船形山・泉ケ岳火山周辺には, 規模が大きく層すべりで, 細かく分化していく地すべりと, 厚い溶岩などの滑り落ちによって形成された比較的規模の小さい地すべりが認められる。また前者は, 分化の過程でも, ほとんど元の構造が破砕されずに残るタイプと, 圧縮の場に, 本来の構造が破砕されてできた Pressure ridge などの微地形が形成されるタイプに分けられる。これらはいずれもキャップロック構造をもつ地域に発生しており、キャップロックをなす岩石の種類や厚さの違いが, 地すべりの形成プロセスや形態的な違いをもたらしたと考えられる。またこれらの大規模地すべりは, 3〜4万年前頃に初期の動きがあり, 2〜3万年前, 1万年前以降にもかなり大きな動きがあった。
- 東北地理学会の論文
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