慢性肝疾患における亜鉛代謝異常に関する研究 (第2報) : 病態生理に関する基礎的検討
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概要
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肝硬変症における亜鉛代謝異常と肝性脳症との関連につき, 尿素回路機, アンモニア代謝面より基礎的検討を行つた. 四塩化炭素慢性投与により肝硬変ラットを作製した. 肝硬変ラットにおいてはcontrol と比し血清亜鉛濃度の低下 (LC 118.6±33.7μg/dl: control 161.6±13.9, p<0.05), 亜鉛含量の低下 (LC 81.4±16.3μg/g DW: control 108.1±6.9μg/g DW, p<0.01), 血中アンモニアの上昇(LC 87.2±38.5μg/dl: control 38.5±10.6μg/dl, p<0.05) 肝オルニチンカルバミールトランスフェラーゼ (OCT) 活性の低下 (LC 24.7±4.0U/mg prot: control 42.4±3.8U/mg prot, p<0.01) を認めた. 肝亜鉛含量と肝OCT活性には相関がみられた (r=0.6075). また肝硬変ラットを亜鉛制限食にて飼育すると肝亜鉛含量の低下とともに肝OCT活性の低下 (p<0.01), 血中アンモニアの上昇 (p<0.01) を認めた. 以上の成績は肝硬変症では亜鉛欠乏状態が存在し肝OCT活性の低下を介し高アンモニア血症を助長している可能性を強く示唆した.
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