慢性肝疾患における亜鉛代謝異常に関する研究 (第1報) : 臨床的意義について
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概要
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慢性肝疾患における空腹時血清亜鉛濃度を測定した. 血清亜鉛濃度は慢性肝疾患で健康成人に比し明らかに低値を示した (p<0.01). しかも病態の進行とともにこの傾向は顕著となり, 非代償性肝硬変症では著明な低亜鉛血症を認めた. 肝硬変症では血清亜鉛濃度; 50μg/dlを境に代償性と非代償性が良く判別された. また肝硬変症における血清亜鉛濃度と各種肝機能検査との相関をみると血清アルブミン (r=0.6240) 総コレステロール (r=0.5349) コリンエステラーゼ (r=0.7148) 等, 主に肝合成能を反映する検査と良い相関をみた. 以上の成績は肝硬変症では継時的血清亜鉛濃度測定は予後推定の指標として有用であると考えられた.また近年肝性脳症に特殊アミノ酸製剤が繁用されているが, 肝硬変症ではこのアミノ酸製剤の補給で高度に遷延する低亜鉛血症の増強作用が認められた. これは含有するヒスチジン, シスチン等の亜鉛キレート効果をもつアミノ酸の影響と考えられ特殊アミノ酸製剤の改良, 亜鉛補給の必要性が示唆された.
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