長期間継代培養した交雑ヤマナラシ (Populus sieboldii Miq.×Populus grandidentata Michx.) カルスにおける効果的な植物体再生法
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概要
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交雑ヤマナラシ (Populus sieboldii Miq.×P. grandidentata Michx., Y-63, Y-78, Y-79, Y-102) の若い茎と葉から2.0mg/l 2, 4-dichlorophenoxyacetic acid 存在下でカルス誘導し, 継代培養によって維持した. カルスは柔軟で均質な組織として旺盛に生長した. 初代培養において組織片に生じたカルスは, zeatin, kinetin あるいは benzyladenine を含む修正 Linsmaier と Skoog の培地上で効率よく茎葉を分化したが, 1年以上継代維持したカルスから同様の方法で茎葉分化を試みた場合, 茎葉を分化したものは移植片の2%以下であった. そこで, 継代培養によって維持されたカルスを用い, 茎葉分化と植物体再生法の改良を試みた. このようなカルスから効率よく茎葉を誘導するには, まず組織片を生長調節物質を含まない修正 Linsmaier と Skoog の培地で2週間培養し, その後0.6mg/lの多 zeatin を添加した培地に移し培養を続けるという方法が有効であった. この方法により, 供試した全てのクロンに由来するカルスにおいて茎葉が分化し, 植物体が復元された. さらに, 誘起された形態形成が胚分化でなく茎葉分化であるという組織学上の知見も得られた.
- 日本植物細胞分子生物学会の論文
著者
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井上 正保
秋田県立農業短期大学・生物工学研究所
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伊藤 恵美子
十條製紙株式会社・中央研究所
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野村 港二
筑波大学・農林学系
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高橋 清子
秋田県立農業短期大学・生物工学研究所
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大島 喜八郎
十條製紙株式会社・中央研究所
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増田 清
秋田県立農業短期大学・生物工学研究所
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井上 正保
秋田県立農業短期大学・生物工学研究所
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