ワイルドライスの完熟胚からのカルス誘導と植物体の再生
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概要
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4℃で水中に貯蔵したワイルドライス (Zizania palustris L.) の完熟種子を滅菌処理後, これらから胚を摘出し, 寒天培地に置床しカルスの誘導を試みた. カルスは, 2,4-Dを2-4mg/lおよびBAを0.02mg/l添加した場合によく誘導されたが, NAAの場合には, 多くの胚は植物体に成長し, カルスはわずかしか誘導されなかった. 誘導されたカルスの多くは, 粒状, 黄白色で, 他に維代培養中, 白色もしくは淡黄色のずれやすいカルスなどの形態的な変異が認められた. これらのうちコンパクトな粒状のカルスを, 2,4-Dを減じた培地に移植したところ, 多くの胚様体を生じ, 植物体に成長した. さらに再分化した幼植物を水田土壌に移植し, 照明時間を10時間, 温度を照明中20℃・暗黒中15℃, および湿度を80% (Rh) に調整した培養器内で順化し, 成植物を得た. これらは開花したが, 種子は得られなかった.
- 日本植物細胞分子生物学会の論文