十二指腸内Caイオンの膵外分泌に対する影響
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概要
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総胆管カニュレーションにより, 膵液と胆汁を別々に採取できるように準備したラットを用い, 無麻酔下に膵液採取を行い, Na2 EDTA と Ca EDTAの各溶液を十二指腸内に注入して腸内Caイオンの膵外分泌に対する役割を検討した. 分泌された膵液, 胆汁を常に十二指腸内に戻した状態では, Na2EDTAは, 膵液量, たん白, 重炭酸イオン排出量を有意に増加させた. また, 膵液, 胆汁を腸外へ流出させ, 腸内へ戻さない状態でも, Na2 EDTA は, 液量, 重炭酸イオン排出量を増加させたが, たん白排出量の増加は一過性であつた. 一方 Ca EDTA は, 胆汁, 膵液の腸内での有無にかかわらず, 膵外分泌に何ら影響を与えなかつた. 以上の結果は, 十二指腸内 Ca イオンの濃度の変化が, 膵外分泌のコントロールに関与していることを示唆した.