小腸実験潰瘍の走査電子顕微鏡学的研究 : 第一編:鋳型法による小腸潰瘍治癒過程の血管構築の観察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
熱湯を用いてラットの上部小腸に潰瘍を作製し,その治癒過程を急性期,治癒期および搬痕期に分け,各時期での血管構築の変化を鋳型走査電子顕微鏡法と墨汁色素注入法を用いて観察した.急性期には,潰瘍辺縁の血管の拡張が主体であり,血管の新生像は乏しかつた.治癒期には,漿膜側から放射状に集合する血管群,粘膜下層から直線状に発育する血管群,粘膜層の陰窩を取り巻く血管網及び再生絨毛を形成する血管網など,多彩な新生血管が観察された.瘢痕期には,絨毛の血管網の配列が不規則になり,血管の密度が粗になつていた.治癒が遷延した潰瘍では,漿膜側及び粘膜下層より発育する血管が粗で,血管相互の吻合も乏しかつた.