門脈圧亢進症例における胃酸分泌
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概要
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74例の門脈圧亢進症例において胃酸分泌の測定を行つた.門脈圧亢進症では胃酸分泌が正常人に比べて有意に低下していた.肝硬変症と肝線維症の間で胃酸分泌に有意の差がなかつた.胃酸分泌と肝機能の間に有意の相関はなかつた.胃酸分泌と門脈圧の間にも有意の相関はなかつたが,門脈圧の高い症例に低酸症例が多かつた.消化性潰瘍の合併は5.4%であり,胃酸分泌は正常範囲内であつた.空腹時血清ガストリン値は正常値の上限であり,胃酸分泌との間に相関は見られなかつた.混合静脈血中アンモニア値とMAOは負の相関を示した.以上から低酸の原因として門脈圧の亢進による循環障害及びアンモニア等の有毒物質の関与が推測された.