標準的治療を受けている進行非小細胞肺がん患者の自己の見通しを持つ体験
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概要
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本研究の目的は, 標準的治療を受けている進行非小細胞肺がん患者の自己の見通しを持つ体験について探求することである. 5名の研究協力者に非構成的面接法を行い, 収集した語りのデータを逐語録として, 現象学的心理学者Colaizziの方法に基づき分析した. 結果, 体験は個別だが, 共通性から5つの意味が見出されたが, 本稿では次の3つの意味を紹介する. (1)生の有限性に気づくからこそ向き合い自分自身の生を志向する, (2)ありのままの自分を評価できるからこそこのままの自分自身を志向する, (3)自分だけだから自分だけではないことを志向する. これらの意味からは, 自己の見通しを持つ体験の意味は自分の死の自覚を契機とし, さまざまに揺るがされた自分自身の存在を探求し, 将来の確かなあり方を自覚するという生の充実への積極的努力と考えられた. Palliat Care Res 2011; 6(2): 222-226