水界動物における脂肪酸の生合成とコイでの代謝
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概要
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10日間絶食区また35日間無脂肪食区のコイは, 対照区のものと肝すい臓アセチルCoAカルボキシラーゼ (ACC) 比活性においてほぼ同一水準を示した。無脂肪食に5%脂肪酸を添加しても, コイ肝すい臓ACCの比活性は低下しなかった。35日間無脂肪食投与区は肝, すい臓脂肪酸合成酵素 (FAS) の比活性を増大し, 無脂肪食に5%脂肪酸添加した区は同比活性を低下した。インシュリンあるいはアロキサン注射はコイ肝すい臓ACC及びFASの比活性に影響がみられなかった。水生動物からのACCはクエン酸とMg<SUP>2</SUP>+をまたFASはNADPHを活性化のために要求し, 基本的にはほ乳動物と同じ要求性を示した。コイ肝すい臓でACCの比活性は45pmol/min/mgタンパク質であり, FASのそれは421pmol/min/mgタンパク質であり, ほ乳動物のそれらに比べてかなり低い。他7種の水生動物については全動物体からそれら粗酵素を調製したが, コイ肝すい臓の約1/10の比活性を示したに過ぎない。したがって, 魚を含めた水生動物の脂質合成はより劣っているように思われる。
- 社団法人 日本油化学会の論文