糖脂質酵素モデル XIII : ベシクル2分子膜におけるリン脂質の役割
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生体膜を構成する蛋白質 (酵素) とリン脂質の相互作用は酵素の活性に非常に重要である。しかしながらそのような相互作用は詳しくは殆ど研究されていない。本論文では, 6種のリン脂質類似体を合成し, 糖脂質加水分解酵素モデルによるアミノ酸エステルの加水分解反応における反応場として使用した。その結果リン脂質は3群に分類できることが見いだされた : (1) 強力な水素結合で糖脂質を不活性化するもの (ホスファチジン酸類似体), (2) 弱い水素結合で糖脂質を適度に分布させるもの (ホスファチジルグリセロール類似体及びホスファチジルイノシトール類似体), 及び (3) 静電効果で糖脂質の活性を非常に向上させるもの (ホスファチジルセリン類似体, ホスファチジルコリン類似体, ホスファチジルエタノールアミン類似体) 。更に特にホスファチジルセリン類似体は膜の活性化とその維持に寄与し, 例えホスファチジン酸類似体が存在しても, 糖脂質の触媒活性を向上させることが分かった。