規制緩和後のわが国損害保険産業の集中度と規模の経済 : ―事業費率関数を用いたパネルデータ分析―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
わが国損害保険産業は,1998年の実質的な料率自由化の後,大型合併など,業態内統合を短期間に経験してきたが,こうした動向は今後も続くのだろうか。この点を議論するためには,規制緩和後になぜ,業態内統合が進展するのかという点を説明しなくてはならない。そこで,本研究では規制緩和後のわが国損保産業の集中度を測定するとともに,同じ期間の個別企業レベルのデータを用いることによって,わが国の損害保険産業における規模の経済について実証的に検証した。分析は,保険引受に関する事業費,損害調査費,代理店手数料など事業費の区分別,ならびに保険種目別に行った。実証分析の結果,一貫して規模の経済が確認されたが,それが働く程度については,保険種目,事業費の範囲によって異なった結果が得られた。このことは,今後の業態内統合が,企業全体としてではなく,保険種目や業務別の統合によるほうが,費用の節約が期待できるということを示唆している。
- 日本保険学会の論文
著者
関連論文
- わが国損害保険業における再保険需要の決定要因--1963年度から2007年度までの実証分析
- わが国企業のデリバティブ利用とヘッジ行動
- 生命保険会社の損害保険市場への新規参入--「見えざる参入障壁」とクロスセルの評価に関する実証分析
- 規制緩和後におけるわが国の生命保険業の効率性と生産性の変化 : ノンパラメトリック手法を用いた考察
- 規制緩和後のわが国損害保険業の再編と効率性・生産性への影響--一連の合併現象は生産性の改善に貢献したか?
- 規制緩和後の業界再編と生命保険業における効率性変化--確率的フロンティアDistance Functionの推定によるアプローチ
- 退職給付の積立率が母体企業の収益性に与える影響とその経路
- 会社形態の相違は経営行動やコーポレートガバナンスに影響を及ぼすか? : 保険業法改正後のわが国生命保険業に関する実証分析
- 保険契約に関する国際会計基準の動向
- 企業年金財政と母体企業の信用リスク--長期債格付けデータを用いた実証分析
- 企業年金の制度終了と給付保証システム--企業年金先進国アメリカの苦悩から学ぶ
- 論壇 医療保険制度改革における疾病予防の重点化
- 銀行と保険の業態間規制の緩和に対するわが国株式市場の評価 (生命保険文化センター設立30周年記念特集(1))
- 韓国におけるバンカシュランスの現状と課題
- 韓国の損害保険業の規制緩和と産業構造の変化--産業の集中度と規模の経済性の検証を中心に
- イギリス 保険・リスクマネジメント・アクチュアリー教育の拠点--シティー大学キャスビジネススクール (特集 高等教育レベルにおける保険・リスクマネジメント教育・研究の国際的動向)
- アメリカ リスクマネジメント・保険教育ならびに研究の拠点--ペンシルバニア大学ウォートンスクール (特集 高等教育レベルにおける保険・リスクマネジメント教育・研究の国際的動向)
- 米国の保険産業における募集チャネルの多様化に関する一考察--先行研究のレビューを中心として
- わが国の損害保険産業における募集チャネルの費用効率性--パネルデータを用いた実証分析
- 米国における母体企業と年金基金の経済的同一性に関する一考察
- 米国における年金基金の資産運用・積立戦略と株主価値の最大化--保険効果・税制効果と統合モデルによる分析
- 企業年金財政と株式リターン
- わが国損害保険業における募集チャネルと費用効率性に関する検証
- 超過積立の企業年金資産の処理 : 米国におけるペンション・リバージョンの理論的考察を中心に
- 規制緩和後のわが国損害保険産業の集中度と規模の経済 : ―事業費率関数を用いたパネルデータ分析―
- 生命保険会社の商品・販売戦略と生命再保険によるリスク管理 : 2001年度から2010年度までのパネルデータ分析
- 税効果会計アノマリー : 法人税等調整額と株式リターン予測
- 企業年金制度の積立不足と母体企業の株式リターン (木村立夫教授退任記念号)
- 米国の企業年金制度における支払保証
- 企業年金制度の積立不足と企業経営 : 過去11年間の経験からの示唆