乳牛の卵巣嚢腫の診断と治療に関する検討
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概要
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直腸検査により嚢腫が触知されたホルスタイン種乳牛13頭を供試し、禀告、外部発情徴候、直腸検査および超音波断層像より、2群に区分した。I群の4頭は、嚢腫の存在下で発情が発現したと診断されたもので、処置を行わなかった。翌日4頭とも共存する卵胞が排卵し、その後に黄体の形成が認められた。II群の9頭は卵胞嚢腫と診断され、LH-RH-A100μgを筋注した。その後、2日以内に全頭で嚢腫と共存する卵胞が排卵し、その後に正常または嚢腫様を呈する黄体の形成が認められた。脱脂乳中プロジェステロン濃度は、この時に形成された黄体の消長と一致し、1頭で処置後13日、他の6頭は18〜23目に発情が発現し、この時授精を実施した5頭のうち3頭が受胎した。嚢腫の閉鎖黄体化は、処置後7日目の超音波断層像で、1頭のみで認められた。嚢腫の消失は、処置後2〜101日以上であった。<BR>これらのことより、嚢腫の診断と治癒判定には、超音波診断装置による卵巣の断層像と脂肪乳中プロジェステロン濃度の測定が有効と認められた。
著者
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鈴木 利行
宮城県農業共済組合連合会家畜診療研修所
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佐藤 繁
宮城県農業共済組合連
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鈴木 利行
宮城県農業共済組合連合会
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小野 敏行
宮城県農業共済組合連合会大衡家畜診療所
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岡田 啓司
宮城県農業共済組合連合会大衡家畜診療所
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氏家 賢一
宮城県農業共済組合連合会大衡家畜診療所
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