山羊の実験的尿毒症における酸・塩基平衡と血液理化学的変化について
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概要
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5頭の雄山羊の尿道を人為的に閉塞し、全頭が死亡するまで、おおよそ12時間毎に臨床所見、酸・塩基平衡諸量および血液理化学的性状を観察・測定した。<BR>その結果、尿道閉塞1日後より背弯姿勢と震顫がみられた。その後食欲廃絶、起立困難を呈したが、この時点では全頭においてBUN値は80ml/dl以上を示した。次いで腹部膨満、眼球振盪、昏睡の尿毒症の末期症状を示し、尿道閉塞2日後から6.5日後の間に全頭が死亡した。腹部膨満がみられた3頭に、腹水の貯留と膀胱穿孔が確認された。体温と脈拍数は症状が悪化するにつれて低下し、呼吸数は大きな変化を示さなかったが、浅表性呼吸を呈した。<BR>動脈血のpHとHCO<SUB>3</SUB>値は上昇し、PCO<SUB>2</SUB>には変化なく、さらに低Cl血症を示したことから、本実験における酸・塩基平衡の変化として低Cl性代謝産アルカローシスを呈していた。また、K値は死亡するまで進行性に増加した。<BR>He、Na、血漿蛋白値は、尿道閉塞2日後まで減少し、血液の希釈が起ったものと推察された。その後は逆に血液の濃縮傾向がみられた。<BR>BUN、クレアチニン、血糖値は、進行性に増加し、このことに起因すると思われる浸透圧の著しい上昇がみられた。<BR>以上のことより、反芻獣の尿毒症においては、酸・塩基平衡、電解質ならびに血液性状に著しい異常がみられることが明らかとなった。したがって、反芻獣における尿毒症の補助治療に際しては、これらの異常に対して十分に考慮する必要があると思われた。
著者
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小笠原 俊実
北里大学獣医畜産学部
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小笠原 俊実
北里大学獣医畜産学部附属家畜病院
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大沼 秀男
北里大学獣医畜産学部
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内田 達男
北里大学獣医畜産学部附属家畜病院
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大沼 秀男
北里大学獣医畜産学部附属家畜病院
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石川 理弥
北里大学獣医畜産学部附属家畜病院
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大森 重寿
北里大学獣医畜産学部附属家畜病院
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小笠原 成郎
同獣医外科教室
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