焼畑農業の研究とその課題 : 《焼畑の比較地理学》への一序論
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概要
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以上,焼畑農業についての最近の研究の動向とその問題点にふれ,あわせて焼畑の比較地理学への若干の展望を行ってきたが,最近の焼畑農業研究には,大別して二つの方向がみとめられる。その第1はmicro-scopic studyとでもいうべきもので,community或はfamilyのレベルで焼畑農業の経営形態を捉え,その特色を詳しく調査・研究するとともに,その地域の自然条件や文化や社会の構造と焼畑農業組織との関連を精細に追究する方向である。この場合にはとくに,作物栽培技術や輪作形態が詳しく分析され,焼畑の生産性や人口支持力の問題、或は焼畑農業とその社会の変容過程が興味ある問題としてとりあげられている。他方,第2の研究方向は,macro-scopicなもので,焼畑農業の比較研究をめざすものである。ここでは焼畑農業の地域的特色の類型的把握が問題になり,その歴史的・文化生態学的特徴の解明が重要な研究課題になっている。そうして,この場合には,《根栽型焼畑農業》と《雑穀栽培型焼畑農業》の二つの大類型の設定とその特徴の把握が,比較研究上のきわめて有効なメルクマールになるのではないかと考えられるのである。
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