鉄欠乏家兎における嚥下筋障害
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概要
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著者は鉄欠乏家兎を作成し, これを用いてPlummer-Vinson症候群における嚥下障害の成因について検討を行った. 嚥下筋 (甲状咽頭筋, 輪状咽頭筋, 頸部食道筋) はATPase染色にて3型 (Type 1, 2A, 2B線維) に分類された. 各筋の筋線維構成, 分布は正常家兎と鉄欠乏家兎との間に有意差はみられなかった. NADH-TR染色法では鉄欠乏家兎嚥下筋のType 1線維に筋原線維間網の乱れや“虫喰い像”が認められた. さらに鉄欠乏家兎嚥下筋の含鉄量は対照筋 (胸骨舌骨筋, 大腿薄筋) に比し有意に減少しており, 鉄欠乏家兎の嚥下筋に選択的にミオグロビンの減少が生じていると推察された. 以上により鉄欠乏性貧血の嚥下障害は筋原性に起こりうると結論した.