一酸化炭素中毒による内耳および中枢伝導路障害の臨床病理

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概要

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• 1. 目的: 一酸化炭素中毒による耳神経学的症状と全身症状との関連, およびその背景となる形態学的変化については, 未だ充分に把握されていない. 急性一酸化炭素中毒屍剖検例を中心として, これらの疑問点の解明を試みた.<BR>2. 方法: 54才, 男性の急性一酸化炭素中毒患者の死後, その内耳および中枢伝導路を病理組織学的に検索し, 本症例と同時被災の症例群の諸症状との関連について考察を加えた.<BR>3. 結果: 剖検例の病理組織学的所見.<BR>(1) 両淡蒼球の軟化巣のほか, 一般に大脳, 小脳, 脳幹部, 第8脳神経には著変がなかった.<BR>(2) 内耳では, ラセン神経節には萎縮が認められたが, 血管条, コルチ器などには著変がなかった. また前庭神経節, 球形のう, 卵形のう, 半規管にも著変がなかった.<BR>(3) 一酸化炭素中毒による耳神経学的症状は中枢伝導路における病変により惹起されるものと推察した.

• 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文

著者

• 牧島 和見

  九州大学医学部耳鼻咽喉科学教室

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