マーシャル・アートを超えた香港映画の諸側面 : 社会的・空間的コンテクストにおけるエージント, 場所, 文化
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概要
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香港の映画産業は, 世界の映画産業の中でも大規模で, 最もダイナミックな側面をもっている。マイケル・ディアは, 映画の生産場所, 場所の生産, フィルム・テキスト, 場所にもとづくパフォーマンスの消費といった4つの側面に基づいて, フィルム・スペース (映画空間) の理論を創出した。本論文は, ディアの理論にしたがって, 第1に20世紀末まで香港で生産された映画の歴史を回顧する。第2に1970, 80年代香港映画のブームを解釈するため, 当時香港映画界で活躍していた主要な俳優や監督, 武術指導 (監督), スタントマンの背景や経歴, そして香港映画の発展における貢献について導出する。第3に, 映画のジェンルをカンフー映画, ホラー・幽霊映画, ガンスター映画, 都市暮らし映画との4種類として, それぞれの類型作りや発展について賞味する。第4に, 香港映画の成功に導いた要因として, 人的資源, 資金, 映画文化の交流などを討論する。最後に, 本論文では香港映画をめぐるローカル及びグローバルな作用が, 香港映画産業や, 映画文化への影響を検出するとともに, 中国, アジア, そして世界における香港の政治的・文化的な役割という場所性について考える。