マンガの世界 : グローバリゼーション理論再訪
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概要
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日本はグローバルな文化生産の主要な結節点へと急速になっている。アニメ・コミック・映画・音楽・テレビ番組など日本の文化的産物の多くは, 国内消費のために創られてきた (ローカリゼーション)。グローバリゼーションを明示するようなヨーロッパや北米へのこうした日本の文化的産物の輸出の増大は, 単なる西欧的価値観の保持ではなく日本的要素を組み入れている (ロー・グローバリゼーション)。日本はこうした分核化したグローバリゼーションの一部となり, 一転して文化的産物をアジアへも輸出している (グローカリゼーション)。しかしながら, 韓国・香港・台湾はローカルな文化製品を日本へ輸出している (ローカリゼーションか?)。以上のような展開は, 次のような一連の論点を浮かび上がらせている。ローカルな日本の文化的産物は, どのように始まり時間を経て変化してきたのか。日本の文化的産物は, どのようにうまく西欧文化へ普及し入り込んだのか。日本が, なぜアジアへの文化的産物の輸出における遅参者なのか。韓国・香港・台湾や他のアジア諸国から日本への文化的産物の輸出という逆流過程を, どのように理論化するのか。これらの論点を, 特に日本のコミック (マンガ) に焦点をおいて, その起源と変質, グローバル市場への輸出, アジアへの遅れた輸出の理由, アジアから日本へのコミックの逆流入, を検討し論じる。