頸部廓清術における頸部胸管の形態に関する臨床的研究
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概要
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頸部廓清術は頭頸部悪性腫瘍の系統的治療において, 確立された治療法として重要なものになって来ている. また, 頸部廓清術を併用することにより悪性腫瘍の治療成績が著明に改善されていることには疑い無い.<BR>この手術に際して多くの筋肉, 神経, 血管およびリンパ管が犠牲になる. その時, 種々の合併症が発生する可能性がある.<BR>合併症の1として, 左側頸部廓清においてまず胸管の損傷がある. 胸管を損傷したことに気付かずに創を閉じると, 数日後に乳ビが鎖骨上窩に瀦溜し, 乳ビ腫や乳ビ瘻を形成する. この術後合併症の治療は厄介であるばかりでなく, 時には不幸の転帰をとることもある. そのために頸部廓清術に際しては, 特に胸管が損傷しないように, または損傷しても直ちに乳ビ漏出を止めることに注意せねばならない. このような合併症を避けるには, 手術時に胸管を明視下に置けばよい. 胸管を明視確認するには, 術前約6時間に患者に脂肪食 (バター25g, 牛乳360cc, 鶏卵2個) を与えるとよい. これにより胸管は乳状に白く見える.<BR>文献上, 頸部胸管についての屍体解剖上の詳細な報告は数多く見られるが, 胸管の臨床所見, すなわち手術野における走行に関する記載は非常に乏しい.<BR>著者は70例の左側頸部廓清術において, 上述の脂肪食投与により手術時に胸管を確認することができた.<BR>手術野における胸管の形状は次のように表わすことができる.
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