病巣感染症に於ける人口蓋扁桃組織蛋白の免疫学的研究
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概要
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この研究は病巣感染性扁桃の免疫学的特徴を見出そうと試み, 扁桃性病巣感染症の免疫学的診断法の可能性を検討したものである.<BR>慢性扁桃炎患者155例を治療後診断法および扁桃マッサージ法により, 病巣感染性扁桃群 (病感扁) と非病巣感染性扁桃群 (非病感扁) とに分けた.<BR>方法:<BR>患者血清および扁桃組織蛋白の分析にSeparax電気泳動, 寒天免疫電気泳動 (=IEP), 寒天免疫拡散法およびHylandのImmunoplateを使用した. また, タンニン酸処理赤血球凝集反応および螢光抗体法を用いて, 血清中自己乃至同種抗扁桃抗体について検討した.<BR>結果:<BR>1) 扁桃組織蛋白はSeparax電気泳動によると5つに, IEPおよび免疫拡散法では13に分画された.<BR>2) 病感扁患者血清γ-glおよび組織γ-glは非病感扁のそれより高値を示した.<BR>3) 病感扁患者血清のγG, γA, γMはともに非病感扁のそれらより高値を示した.<BR>4) 病感扁組織γGおよびγAは非病感扁のそれらより高値を示した.<BR>5) 扁桃組織内のγGおよびγAはともに上皮下浸潤形質細胞の細胞質に, γMは上皮下浸潤リンパ球様細胞およびRussell小体, 胚中心周囲のリンパ球様細胞と細網細胞に局在した.<BR>6) 病感扁を抗原とした病感扁患者血清の赤血球凝集反応は非病感扁患者血清より陽性率および凝集価が高いことを認めた.<BR>7) 赤血球凝集反応陽性の血清γ-gl分画に対する扁桃組織内抗原の螢光抗体法による検索では核物質および細菌を含んでいると思われる崩壊上皮に, また胚中心およびその周囲の細網細胞に特異螢光を認めた.<BR>以上, 赤血球凝集反応および螢光抗体法により血清中に自己乃至同種の扁桃組織に対する抗体の存在する可能性を認め, 患者血清を検体とした抗扁桃抗体の証明が扁桃性病巣感染症の診断に役立つことになると考える.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文