Broca失語症者とWernicke失語症者の文の産生における統語処理
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概要
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文の発話において, Broca失語症者とWernicke失語症者が示す統語的誤りを分析し, それが文の発話プロセスのどのレベルの障害であるかを検討するため, 文の発話実験を行った.被験者はBroca失語症者, Wernicke失語症者, 非脳損傷者各16名である.結果はつぎのとおりである.1) 両失語群の者は健常者より, 助詞の誤用や脱落, 文の直接構成素の脱落や置換, 基本語順によらない名詞句の配列が有意に多かった.2) 両失語群の助詞や基本語順の産生に同じ統語的要因が影響を与え, 両失語群でそれらの産生に関し, 同じ難易順が存在した.3) Broca失語はWernicke失語より助詞や直接構成素の脱落が多く, また, 助詞や基本語順の産生にもより大きな困難を示した.これらから, 両失語群の者は文の発話プロセスのうち統語処理レベルに障害を有するといえる.そのプロセスにBroca失語はWernicke失語より大きな障害を有するが, それには非統語的要因の障害が関係している可能性があると考えられる.
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