シャープカット型聴力障害児の音声言語 : ―聴覚的評価の多変量解析―
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概要
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本研究はいわゆるシャープカット型難聴の子ども30名 (平均9歳) の音声言語について下記の3点より検討したものである.本聴力障害児を急墜開始周波数によってI群 (1000Hz) , II群 (2000Hz) , III群 (4000Hz) の3つの群に分け, 加えて同年齢の聴力正常児10名をIII群のコントロール群とした.これら被検児の文章朗読の音声について聴覚心理的検査を行い, 得られたデータに対して正準判別分析法, 因子分析法で分析した.<BR>1) 4000Hz以上の高音難聴児 (III群) の発語であっても, 第1正準変量上で聴力正常児の発語と聴覚的に分類可能なことがわかった.2) I, II, III群の発語間には聴覚的差異が存在していた.その分類は第1因子と第2因子で十分可能で, 両因子の中では「こもった声」が最も大きい負荷量で寄与していた.3) 障害音域に残聴があっても, なくても, 発語に差異はなかった.