失語症への神経学的アプローチ : ―ポジトロンCTによる検討を中心に―
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概要
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脳梗塞により失語症を呈した44例を対象として, ポジトロンCTにより脳循環代謝量を定量的に測定し, 失語症のタイプや重症度との関連性について検討した.ポジトロンCTは<SUP>15</SUP>Osteady-state法により実施し, 優位半球8ヵ所に設定した関心領域の局所脳血流量 (rCBF) と脳酸素消費量 (rCMRO<SUB>2</SUB>) , ならびに半球平均脳血流量 (rCBF) と酸素消費量 (rCMRO<SUB>2</SUB>) を求めた.<BR>失語症のタイプは運動失語が18例で, 感覚失語が20例であった.他の6例は全失語であった.失語症の重症度は軽一中等症群の28例と重症群の16例に分類した.なお, コントロール群として左中大脳動脈穿通枝領域の梗塞の7例を用いた.<BR>運動失語群ではBroca領を反映する前頭葉後部で, 感覚失語群ではWernicke領を反映する側頭葉後部で, コントロール群と比較してrCBFやrCMRO2の有意の減少をみた.失語症各群で前頭葉後部のrCBFとrCMRO<SUB>2</SUB>を比較すると, 感覚失語群に比し, 運動失語群で有意の減少をみた.運動失語は前頭葉後部の損傷で出現するとする古典的局在論と一致する所見である.<BR>失語症の重症度でみると, 軽一中等症群はコントロール群に比し, mCBFやmCMRO<SUB>2</SUB>, ならびに言語領野のrCBFやrCMRO<SUB>2</SUB>で有意の減少を示した.また, 重症群は軽一中等症群やコントロール群に比し, 同様に有意の減少を示した.失語症の重症度の評価に脳循環代謝面からの検討も有用と考えられた.
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