セレン赤釉の発色におよぼす鉛, 亜鉛, 硼酸, その他の影響
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概要
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陶磁器上絵付用融材組成分中の鉛, 硼酸, 亜鉛その他の存在が, セレン赤釉としての色調におよぼす影響についてしらべた。釉薬 (融材) として本文に記したA-Dの無鉛釉4種と硼酸鉛と珪酸鉛を種々の割合に配合し, セレン赤の基礎顔料10%を加えて730℃前後に焼成した結果を述べた。上絵付の結果を考察すると大要以下のようであつた。1) 釉組成中MgOが0.2分子以上存在すると, PbOが少なく (0.2分子), 硼酸が多く存在してもはなはだしく暗色を帯びてくる。MgOが1.5分子以下になるとPbO 0.6分子, B2O3 1分子, で深紅色が得られる (A-6-9系のNo. 1, 2と7, 8の色調対照)。2) ZnOが0.2-0.5分子存在すると赤の色調が安定し, 0.1分子の存在でB2O3も少なく0.2分子, 鉛が多く0.8分子になつても幾分明るさは欠けるが赤色が得られる (B-6-9系のNo. 14)。3) B2O3の存在は相当多量のPbOを使えるが, SiO2がB2O3よりはなはだしく少ないと赤の色調と釉面を悪くする。反対にSiO2に対しB2O3が余り少ないと赤の色が濃く暗色を伴つて色が冴えない (C-6-5のNo. 1, 4, 8)。またB2O3が多きに過ぎると非常にうすい赤色しか出ない。B2O3がSiO2の約5倍以上になると著しく釉面に泡を生じる。4) BaOが0.2分以上存在すると呈色に悪い影響があるが0.16分子では無影響であつた (D-6-9系のD釉とNo. 1比較)。5) カドミウムーセレニウム赤顔料によるセレン赤上絵付融材は, その成分中にZnO 0.2-0.5分子B2O30.6-1.0分子 (SiO2の分子量より多くした場合) 存在すればPbOは0.4-0.6分子含んでいても相当美麗な深紅色が得られる。調合によつてはPbOが0.8分子存在しても赤色は得られる。
- 社団法人 日本セラミックス協会の論文
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