石灰石-生石灰-石灰乳の関係について (第3報) : 沈降炭酸カルシウムの結晶
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概要
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本報ではCaCl2と (NH4)2CO3の両溶液からCaCO3の沈澱を生成せしめ, 顕微鏡試験によりその結晶形およびその生成の過程について論じたのであるが, 要約すると,(イ) 結晶形は菱面体, 球状体, 花状体, 針状体の四形態である。(ロ) 結晶の発達と反応温度と反応温度とは密接な関係を有し高温反応では球状結晶は認められず針状結晶は発達しているが低温では全く逆となる。一般に高温になる程結晶形は大きくなる。(ハ) 溶液濃度もある程度結晶に関係し濃厚になるにつれて菱面体結晶は大きくなり, 針状結晶はその分枝数等においても良く発達するが花状結晶は全然存在しなくなる。(ニ) 各結晶の生成の過程および相互の関係については鏡下1500倍にて多数の試料により検討を行つた。なお石灰飽和液, 石灰乳に対してCO2ガスによる炭酸化反応の諸条件, 即ち微小にして一定の結晶形を有する製品を作り基礎試験の効果を十分に活用するよう反応中断あるいは試薬の投入等については試験中で後に発表の機会を得たい所存である。なお本研究の一部は文部省科学研究費によつた。又終始懇切なる御指導を賜つた張玄彦および坂井渡の両博士に対し衷心より感謝致します。