抽出法による鉄鋼および特殊鋼中のリンの迅速吸光光度定量
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概要
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鉄鋼および特殊鋼中のリンを常法でリン酸としたのち,モリブデン酸アンモニウムによって発色させ<I>iso</I>-ブタノール2容とクロロホルム3容の混合溶媒で抽出し,吸光光度法によって迅速に定量する方法を検討した.すなわち試料を酸で分解し,過マンガン酸カリウム酸化処理後,モリブデン酸アンモニウム溶液を加え,リンモリブデン酸の黄色を発色させ,ただちに混合溶媒で抽出し,その吸光度を測定しリン量を求める。共存元素としてSi,As,Cr,VおよびWなどを検討したが,WとVが妨害をあたえた.ただしVの妨害は還元操作で除くことができた.<BR>炭素鋼の標準試料を用いてリン量0.025%のもので標準偏差0.0037,ステンレス鋼の標準試料を用いリン量0.021%のもので標準偏差0.00075であり,実用に供し得べき結果を得た.本法による所要時間は炭素鋼などで10分以内,ステンレス鋼などの揚合で15分以内である.定量範囲は0.003%〜0.8%である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文