吸光光度法による鉱石中の微量ニッケル定量法
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概要
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E.B.SandellによるNiの比色法について検討した結果,一般鉱石中Ni含量0.005〜2.0%の範囲まで定量可能な方法をつくった.改良の主な点は着色物nickelic dimethylglyoximeの安定剤で,発色前に25%NH<SUB>4</SUB>Cl溶液10m<I>l</I>を添加することにより1.5mgNi/100m<I>l</I>まで,沈デン析出を抑制できた.<BR>つぎに本法に対し懸念される妨害元素Mn,Cu,Co,Crについて実験した結果,ほとんど影響のないことがわかった.なお本法を重量法と比較した結果,比色法の優れていることを実証した.<BR>(1)Niの比色法についてE.B.Sandellにより岩石に応用された方法を検討した結果,多少の改良を加えて一般鉱石中Ni含量0.005〜2.0%の範囲まで定量可能な方法をつくった.改良の主な点は着色物nickelic dimethylglyoximeの安定剤である.従来Niの比色法におけるNi濃度は0.5mg/100m<I>l</I>までが限界で,これ以上では発色の際沈デンを生ずるおそれがあった.筆者は発色前に25%NH<SUB>4</SUB>Cl溶液10m<I>l</I>を添加することにより1.5mg Ni/100m<I>l</I>まで沈デンの生成を抑制することができた.<BR>(2)本法について最も懸念される妨害元素Mn,Cu,Co,Crの影響を実験した結果,単独の場合はほとんど影響がなかった.すなわちMnは原試料中50%まで影響なく,Cuは20%まで実験し10%位まで影響なく,20%ではわずかに影響するが抽出したクロロホルムを稀アンモニア水で洗浄することにより,全然影響がなくなる.Coは3%相当量までまたCrは20%まで実験し影響がなかった.つぎに四者共存の場合では大量の場合に多少影響があった.<BR>(3)本法を重量法と比較検討した結果,重量法は0.2%以下では不正確であり,殊に0.1%以下では著しく0.05%以下では沈デンを全然生じないことも多い.これは大量の鉄塩の影響である.しかるに比色法は2%以下極めて微量までの定量に適し迅速正確な良法である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文