無機ペーパークロマトグラフィー用顯色剤としての2, 3の有機試薬に就ての
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概要
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ペーパークロマトグラフィーにより系統的無機定性分析を行った場合,展開分離した金属を顕色するに用いる有機試薬としては,一種類の試薬で出来るだけ多くの同族物質が検出されることが望ましいが,その点1-フェニールチオセミカルバチッド及びガレイン,チオガレインは充分此の目的を達し得る.<BR>即ち,展開剤としてアセトン+HCl又はブタノール+HClを用いれば,フェニールチオセミカルバチッドを顕色剤として,Cu<SUP>2+</SUP>, Cd<SUP>2+</SUP>, Bi<SUP>3+</SUP>, Ni<SUP>2+</SUP>, Co<SUP>2+</SUP>, Zn<SUP>2+</SUP>及びHg<SUP>2+</SUP>, Fe<SUP>3+</SUP>の一斉検出が可能である.又,錫属金属の一斉顕色については,展開剤として氷醋酸+HNO<SUB>3</SUB>を用いた場合,チオガレインではSn<SUP>4+</SUP>, Sb<SUP>3+</SUP>, Sb<SUP>5+</SUP>, As<SUP>3+</SUP>,As<SUP>5+</SUP>が各単独ならば検出されるが, Sn<SUP>4+</SUP>とAs<SUP>3+</SUP>は重なり,Sb<SUP>5+</SUP>はSb<SUP>3+</SUP>に比してわかりにくいから,三種の金属を同時に完全に分離検出する為の組合せとしては, Sn<SUP>4+</SUP>, Sb<SUP>3+</SUP>, As<SUP>5+</SUP>が適当である.ガレインでは, Sn<SUP>4+</SUP>, Sb<SUP>3+</SUP>, Sb<SUP>5+</SUP>の同時顕色可能.但しAs<SUP>3+</SUP>, As<SUP>5+</SUP>は顕色出来ない.展開剤として氷醋酸+HClを用いた場合,チオガレインではSn<SUP>4+</SUP>, Sb<SUP>3+</SUP>, Sb<SUP>5+</SUP>, As<SUP>5+</SUP>が各単独の時検出出来るが,As<SUP>3+</SUP>は呈色せず,且Sb<SUP>5+</SUP>とAs<SUP>5+</SUP>は重なる.故にSn<SUP>4+</SUP>, Sb<SUP>3+</SUP>, As<SUP>5+</SUP>の組合せが三種の金属の一斉分離検出に適当である.ガレインではSn<SUP>4+</SUP>, Sb<SUP>3+</SUP>, Sb<SUP>5+</SUP>のみが鮮明に呈色する.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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