1 視覚の生理学
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概要
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本特集2,3では,視物質の分子構造と,その物理的,化学的変化が述べられている.筆者に与えられた課題は次の視覚過程,すなわち視物質の変化が視細胞の活動をひきおこす過程,および視細胞活動の機構であるが,残念ながらまだわからないことばかりである.<BR>一般に神経細胞が活動するということは細胞膜のイオン透過性が変化するということであり,必然的に細胞膜をはさんでの電位差が変化することになる.神経生理学ではもっぱらこの電位変化を観察して,細胞の活動について議論をする.視細胞でも同様で,その電位は視細胞電位あるいは受容器電位(receptor potential)と呼ばれる.さて光が視細胞外節に吸収されてから受容器電位が現われるまで,数m secから十数m secかかる.このような潜時は,与えた光の強さ,動物の種類などにより長短がある.潜時の間に視細胞の中でおこっている現象は,神経生理学的にはとらえようがなかったが,BrownとMurakamiはサルの視細胞について実験をしているとき,刺激光の強さを極端に強くしてゆくと,従来の受容器電位に先行して,ほとんど潜時の認められない別種の電位が現われることを発見し,これをearly receptor potential(早期受容器電位,略してERP)と呼び,これと区別するため,遅れて発生する従来のものをlate-receptor potential(晩期受容器電位,略してLRP)と呼ぶことにした.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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