ガスクロマトグラフ用ガラス製open tubularカラムに関する研究
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概要
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カラム製作のためのコーティング装置,およびカラムを保持しガスクロマトグラフへ接続するためのホルダーを試作し,これらを用いてガラスキャピラリーの内壁に特別な表面処理を施さないガラス製wall coated open tubularカラムを試作し,性能を検討した.<BR>長さ20m,内径0.25mmのガラスキャピラリーを用い,10%(w/v)OV-17/<I>n</I>-ヘキサン0.3m<I>l</I>のコーティング溶液の移動速度とカラム効率との関係,および移動速度と分配比との関係を調べた.その結果,コーティング溶液の移動速度は5〜8cm/secの範囲が適当であることがわかった.理論段数は最適流量条件で,1mあたり2300段が得られた.またカラム内壁にコーティングされる固定相液体層の厚さは,コーティング溶液の移動速度に比例することが確認された.<BR>上記の実験で最も低いHETP値を示したカラムを用い,カラム温度250℃で840時間(35日間)連続使用し,カラムの劣化状態を検討した結果,顕著な劣化は認められず,ガラスキャピラリー内壁に特殊な処理を施さなくてもじゅうぶん使用に耐えることがわかった.応用として他の液相を用いてガラス製wall coated open tubularカラムを製作し,生化学関連試料を中心に種々の分析を行ない,このカラムの特長,有効性を示すクロマトグラムを得た.
- 社団法人 日本分析化学会の論文