クロム(III)イオンのフェロシアン化カリウムとの呈色反応によるペーパークロマトグラフィー
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ロ紙上でCr<SUP>3+</SUP>のスポットにフェロシアン化カリウム溶液(たとえば5%水溶液)を噴霧すると,噴霧直後は少しも呈色しないが約3時間後には顕著な黄色を呈し,それが数日間安定であり,また水溶液中においてもCr<SUP>3+</SUP>にフェロシアン化カリウムを加えると溶液の色調が徐々に変化し,3時間後には液は橙黄色を呈することがわかったので,ペーパークロマトグラフィーを用いてCr<SUP>3+</SUP>の定性分析を行なう方法を研究した.<BR>展開剤は田村らの研究による溶媒系を用い,呈色試薬として前記のフェロシアン化カリウムを用いてごく普通の陽イオンおよびCrO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>からCr<SUP>3+</SUP>を区別する実験を行なった結果,クロマトグラムの位置および呈色の相違を利用してCr<SUP>3+</SUP>を区別確認することができた.本方法によるCr<SUP>3+</SUP>の確認限界量は約5μgであり,クロム酸に変化させてジフェニルカルバジドで呈色させる従来の方法に比して感度においてやや劣るが操作は簡単,呈色は安定で信頼性がある.