活性炭触媒中の塩化水銀(II)の比色定量法
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概要
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塩化ビニル合成に使用する活性炭触媒中の塩化水銀(II)をスズ(II)-強リン酸還元法によって定量した.すなわち,活性炭触媒を強リン酸媒体中で重クロム酸カリウムを用いて酸化分解したのち,スズ(II)-強リン酸で塩化水銀(II)を金属水銀に還元し,加熱により炭酸ガス気流によって系外に取り出して硫酸-過マンガン酸カリウムを入れた吸収びんに吸収させる.これをジチゾン抽出比色法によって定量した.<BR>この方法によって強リン酸10m<I>l</I>および重クロム酸カリウム1.5gを用いて活性炭は15mgまで完全に分解することができる.そののちスズ(II)-強リン酸7〜10m<I>l</I>を加えて還元温度を360〜370℃に上昇させて30分加熱を続けることにより,塩化水銀(II)405μg(Hgとして300μg)まではほとんど100%の検出度で定量できることがわかった.しかし,それ以上の塩化水銀(II)が含まれているときは負の誤差を生ずる.また,共存イオンとして鉄,アルミニウム,銅,カルシウム,マグネシウム,ニッケル,亜鉛の各イオンが活性炭に対し10%まで共存しても定量値に影響は認められなかった.
- 社団法人 日本分析化学会の論文