イオン交換-中和滴定による硫化鉱中の全硫黄定量方法
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概要
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硫化鉱中の全硫黄の定量には古くから重量法が採用されており,正確な方法ではあるが操作が煩雑でかつ所要時間が長いのが欠点である.硫酸の簡易迅速な定量方法として,ロジゾン酸ナトリウムを指示薬として滴定する方法<SUP>1)2)</SUP>, EDTA標準液で滴定する方法<SUP>3)4)</SUP>,硫化鉱を酸素気流中で加熱燃焼して生成した亜硫酸ガスを過酸化水素水中に吸牧させて硫酸にしたのちアルカリ標準液で滴定する方法<SUP>6)</SUP>などいろいろ発表されて時間の短縮がはかられている.近年イオン交換樹脂を使用する分析方法の研究が著しく発展し,これを硫化鉱中の硫黄定量に応用した研究が二,三発表された<SUP>6)7)8)</SUP>.試料を酸で分解後,塩素型あるいは水素型イオン交換樹脂を使用する方法で燃焼容量法に比すると所要時間は多少長くなるが高価な装置を要しない迅速法である.<BR>硫化鉱に過酸化ナトリウムを混じて溶融分解すると,鉄などは酸化物となり,全硫黄は硫酸ナトリウムになるのでこれを水で抽出し,上澄液を水素形イオン交換樹脂柱を通してイオン交換すると過剰の水酸化ナトリウムは水になり,硫酸ナトリウムは硫酸になって流出する.<BR>この硫酸をアルカリ標準液で滴定する方法を実験したところ所要時間は約2hrで好成績を得たので報告する.