酸化タンタル中の微量鉄の定量 : 水酸化ナトリウム溶融,オルトフェナントロリン光度法
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概要
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酸化タンタル中の鉄の定量にあたり,最も問題となるのは試料の溶解である.従来はピロ硫酸カリウム,硫酸水素カリウムが一般に用いられてきたが,多量の試薬を使用するためにブランクが大きくなり,しばしば分析を不可能とした.<BR>本法では,試料を水酸化ナトリウム溶融を行なって分解し,フッ化水素酸に可溶性としたのでブランクも固定し,容易に分析が可能となった.<BR>本実験の主要点は次のとおりである.<BR>(1)酸化タンタルの分解にあたり,硫酸水素カリウム,ピロ硫酸カリウム,フッ化水素酸+硝酸,水酸化カリウム,炭酸ナトリウムならびに水酸化ナトリウムによる溶融を試みたが,水酸化ナトリウムが最も適当であった.<BR>(2)鉄をオルトフェナントロリンで呈色させるにあたり,フッ化水素酸の影響を試験したが,本方法ではフッ化水素酸(1:1)6m<I>l</I>まではなんら妨害しなかった.<BR>(3)検量線の作成にあたり,酸化タンタルに標準鉄溶液を添加し,試料と同様に処理するが,鉄の回収率は100±2%程度であった.<BR>(4)試料1g採取した場合,本法の定量下限は約0.0007%Fe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>と推定される.