ポーラログラフ法による鋳鉄中のチタンの定量
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概要
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硫酸酸性溶液中で3価の鉄を金属アルミニウムで還元し,酒石酸,シュウ酸あるいはロッシェル塩などを支持塩とすると,鉄共存のままで水銀池電極に対し約-0.3~-0.4Vに4価チタンの良好な還元波を生ずる.これを利用して鋳鉄中の微量チタンを定量するための基礎的条件および妨害元素の検討を行なった.その結果,硫酸濃度を1.4<I>M</I> シュウ酸(水和物)濃度を0.3<I>M</I>にした電解支持塩を使用する場合には金属アルミニウムによる鉄の還元も速く,チタンの還元波型も良好で,チタン標準溶液の初期添加法を採用すれば0.1%以下のチタン含有試料の定量も可能である.なお実際試料中に含まれる濃度範囲において,試料中の共存元素のクロム,ニッケル,ケイ素,マンガンおよび銅,バナジウムなどは1.0%以下では影響はないが,モリブデンは半波電位の近接による妨害があるので,モリブデンを0.1%以上含有する試料は水銀陰極法その他の分離操作によって,あらかじめ除去しておかなければならない.
- 社団法人 日本分析化学会の論文